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手術/麻酔関連情報
麻酔薬の種類と副作用

全身麻酔に必要な麻酔関連薬の紹介をしています。残念ながら全身麻酔にリスク(副作用)ゼロはありません。いままで使用されてきたいろいろな薬の長所と短所を分析し、その動物種、年齢、病態に適すると考えられる複数の薬を組み合わせて使用することで安全性を高める努力をします。
麻酔関連薬には、麻酔前投与薬、麻酔導入薬、吸入麻酔薬があります。それぞれについてその特徴を解説します。また不慮の事態を想定した緊急薬をあらかじめ準備しておきます。
麻酔前投与薬
麻酔前の鎮痛や精神安定の誘導、全身麻酔の導入と維持に必要な麻酔薬用量の減少を目的に使用します。
アトロピン
徐脈の予防と唾液分泌の低減のために使用します。徐脈とは心拍数の低下のことで、他の薬物の作用や喉頭(のど)刺激で起こることがあります。
手術中、徐脈を改善するために緊急的に使用することもあります。
アセプロマジン
鎮静や精神安定の目的で使用され、健康な若い動物に対しては後述するオピオイドと併用すると安定した効果が期待できます。逆に高齢動物や内臓疾患を持つ動物に対しては低血圧の危険性があります。
ミダゾラム
後述する麻酔導入薬と併用することで導入薬の用量を減らすことができます。自身が持つ鎮静作用は不安定ですが心臓や呼吸器への負担が少ないため、他の薬の補助として有用です。
メデトミジン
顕著な鎮静、鎮痛、筋弛緩を誘発することができます。即時性の拮抗薬があるため数分でその作用を中和できるメリットがあります。健康な若い動物の短時間麻酔に用います。副作用として徐脈や心拍出量の低下があるため、高齢動物や健康不良な動物には用いられません。メデトミジンによる徐脈にアトロピンを用いることがありますが、必ずしも心拍出量の改善には至らない点と正規量のアトロピンの投与による頻脈(心拍が早くなる)で心機能の低下が起こる可能性があり、低用量の慎重投与が必要になります。
オピオイド
モルヒネに代表される鎮痛薬です。その他いろいろな種類のオピオイドがあり、その鎮痛効力によってランクされています。他の薬とうまく組み合わせることによって麻酔薬用量を減らすことができます。主な副作用は興奮、幻覚、不快感、呼吸抑制、徐脈です。ブプレノルフィン、ブトルファノール、フェンタニル、レミフェンタニルなどがあります。
麻酔導入薬
吸入麻酔による維持麻酔の前に無意識状態を誘発するために用います。
プロポフォール
最もポピュラーに使用される即効型の静脈内麻酔導入薬です。体内での代謝が迅速で麻酔からのスムーズな回復がこの薬のすぐれた特性です。呼吸抑制(低換気)が生じやすいので必ず導入後は気管内挿管を行い、100%酸素を投与します。急速注入によって低血圧を起こすことがあります。体内脂肪での代謝により分解するので脂肪の少ない動物では麻酔時間の延長を考慮する必要があります。
チオペンタール
プロポフォールと同様、短時間型の静脈内麻酔導入薬です。プロポフォールよりも残留時間が長いことが特徴です。
ケタミン
ケタミンはプロポフォールやチオペンタールに比べ呼吸抑制を引き起こさない利点を持っています。副作用としては脳の血流量を増加させて頭蓋内圧を上昇させることがあるため、脳圧が上昇する素因を持つ動物には禁忌です。また鎮痛効力が小さいとされており、麻酔回復時の撹乱や幻覚に留意が必要です。ケタミンとその代謝物は一部が腎臓から排泄されるため、腎臓への影響を注意する必要があります。
麻酔薬
導入した麻酔状態を手術時間中維持させるための薬で、吸入薬になっています。ほぼすべての全身麻酔に使用します。従来の注射用麻酔薬と違い、術中のみに使用するため麻酔が必要最低量にできます。麻酔深度も迅速に変化させることが可能ですので柔軟性の高い麻酔を提供できます。吸入麻酔薬は主として呼吸を通して体外に排泄されますが、どの麻酔薬もいくらかは内臓で代謝されるため肝臓、腎臓などに毒性をもたらす可能性があります。当院では主にイソフルランを使用しています。
緊急薬
どの麻酔、手術においてもその過程で生命の危険にさらされる可能性を秘めています。その子の年齢や状態、体重などに合わせた緊急薬をあらかじめ準備しておきます。具体的には、血圧や不整脈に関わる薬剤、痛みを緩和する薬剤、呼吸調節に関わる薬剤、ショックに対する薬剤などです。
実際の手術に先立って、麻酔に関わる薬について具体的にお知りになりたい場合やくわしい説明をご用命の場合は遠慮なくお申し出ください。
わかりやすく解説させていただきます。
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